【安倍首相暗殺犯裁判】山上徹也の殺害動機はそんなに単純なものだったのか【仲正昌樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【安倍首相暗殺犯裁判】山上徹也の殺害動機はそんなに単純なものだったのか【仲正昌樹】

【山上徹也被告初公判】山上徹也被告を乗せ奈良地裁に入る車両(2025年10月28日)

 

 ③は明確に否定できる。一体、統一教会が高校卒業後の山上の人生にどうやって干渉したというのか。統一教会は闇の大組織で、全国に監視網を張り巡らし、自民党代議士や国家機構と連携して、元信者を連れ戻そうとしているかのように言う人たちがいるが、教団の信者は一体何人で、そんな危ないことまでして統一教会と共謀する政治家が本当にいると思うのか? まるでドラマの話だ。 

 因みに、十二月一日のフジテレビの『絶対零度』に出てくる悪徳宗教は明らかに統一教会とオウム真理教をミックスしたイメージだった。旧秘天教と聞くと、誰だって「統一」を思い浮かべる。教団の説明として、高額献金の強要、詐欺、家庭を崩壊させ、仕事を奪う、時の政権によって解散命令を受け恨んでいる、アジア諸国に拠点がある、総理は記者時代に人の心を食い物するこの宗教を調べていたこれで統一教会を連想するな、という方が無理だろう――信者の残党の服装はオウムっぽかったが。無論、番組の最後に「この番組に登場する…」というおなじみのテロップが流れたが、あれがこれほど白々しく見えたことはない。沢口靖子固定ファン層がこれで偏見を強めるのかと思うと嫌になった。

 『相棒』などでもシーズンに一回くらい秘密結社っぽい新興宗教が出て来る――既成宗教に似ているものが出てこないのは忖度か、新興の方が妄想を働かせやすいからか。諜報機関の下部(偽装)組織としての活動、政権と癒着したマネーロンダリングや麻薬取引などの闇工作、MC(マインド・コントロール)による殺人マシーン化とか、中高年層が統一教会に対して抱いている雑なイメージは、ワイドショー以上にこうしたドラマの影響が大きいのではないかという気がする。推理ドラマのこの種の印象的な設定と、ワイドショーのコメンテーターの意味ありげなコメントが相乗効果を発揮し、「やっぱり…」と思わせ、刷り込んでいく(MCする)のではないか。

  話をもとに戻すと、元信者でそういう監視網とか政治家の妨害を実際に体験したという元信者など皆無だ。「教団と議員が親しそうにしているのを見て、そういうネットワークがありそうに思えて、絶望した」と言っている元信者はいるが、それはただの妄想だ。周知のように私自身元信者であり、元信者であることを公言して、大学教員になったが、一度も教団に妨害されたことなどない――統一教会への偏見が強いサヨクに邪魔された覚えならあるが。

 「山上の母親が信者であり続けたので、山上は逃げられないと思ったのだ」、と言う人もいる。親子なのでそういう可能性は否定できないが、それは教団が直接関係することではなくて、親子関係の問題だ。山上は現に母親に反発し、二十数年離れて生活していたのだから、母親を通じて、教団が山上の人生を監視し、食い物にし続けたかのように言うのはおかしい。

 また、既に報道されているように、山上の一家は母親の献金の半額を返金され、それに山上自身も合意している。教団が山上の人生を支配し、全て奪い尽くすつもりだとしたら、どうして返金などするのか。

次のページ裁判で山上は、母親の勧めで韓国の教団施設を訪れたこともあると証言

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高市早苗著『アメリカ大統領の権力のすべて』

 

★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★

アメリカ大統領の権力のすべて』待望の新装重版

 

民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?

◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?

★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!

 

「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。

 納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。

 私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。

 (中略)

 そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。

 「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力?  首相のメディア・アピール能力?  国民の権利を保証するマトモな選挙?  国民の参政意識やそれを育む教育制度?

 課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。

 (中略)

 本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」

(「はじめに」より抜粋)

 

◉大前研一氏、推薦!!

 「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

 

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER

How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.

<著者略歴>

高市早苗(たかいち・さなえ)

1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。

 

 

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仲正 昌樹

なかまさ まさき

1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を最も分かりやすく読み解くことで定評がある。また、近年は『Pure Nation』(あごうさとし構成・演出)でドラマトゥルクを担当し、自ら役者を演じるなど、現代思想の芸術への応用の試みにも関わっている。最近の主な著書に、『現代哲学の最前線』『悪と全体主義——ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)、『ヘーゲルを超えるヘーゲル』『ハイデガー哲学入門——『存在と時間』を読む』(講談社現代新書)、『現代思想の名著30』(ちくま新書)、『マルクス入門講義』『ドゥルーズ+ガタリ〈アンチ・オイディプス〉入門講義』『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』(作品社)、『思想家ドラッカーを読む——リベラルと保守のあいだで』(NTT出版)ほか多数。

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